歯周病の予防
運良くむし歯を乗り越えたとしても、大人になって待っている口の病気が、歯周病です。
以前は、歯槽膿漏と言っていたのですが、膿が歯茎から出ていない状態でも病気は存在しており、歯周病、歯のまわりの病気というのが正しい名前となっています。
歯周病もむし歯と同じようにプラークから始まるのですが、今度は、歯と歯茎の境目から始まります。
歯と歯茎の境目についたプラーク(細菌)が、歯茎に炎症をおこし(軽度)、
次第にそれは、根の先の方にすすみ、そのままにしていると、歯を支えている骨が溶けてなくなって、歯がぐらぐらになり、最後には歯が抜けてしまう怖い病気です。歯周病も進んでしまうと、完全になおすことはできません。
プラークが、硬くなったものが歯石です。
歯石になると、もう、歯ブラシではとれません。
歯石は細菌の塊です。
歯石になったら、歯医者さんにいってとってもらうしかありません。
右の写真の歯の周りの白いものが歯石です。
これも歯石の写真です。
たくさん歯石がついていますね。
左は模式図、右はレントゲン写真です。
歯は普通は骨に埋まっているのですが、歯周病が進んだところは、あるはずの骨がなくなって、黒くなっています。
左は、はじめて、診療所に来たときの写真です。
細い針(探針)が歯のまわりに深く入ることがわかります。
歯周病の進む具合はこのようにして調べます。
これを治療するには、歯のまわりをきれいにしていくことが治療になります。
右の写真では、歯のまわりに探針がほとんどはいらず、なおっていることがわかります。
しかしながら、歯茎はやせてしまっています。
探針が入る量は短くなり、歯周病としては治っているのですが、出てしまった歯根の部分は治せません。
今の医療では、失った骨や、歯肉をもどす技術はまだありません。
治療をすることで、歯周病としての進行は落ち着くのですが、根が出てくることで、審美的な問題、さらに根の所は冷たいものにしみやすいことからの知覚過敏、また根はむし歯になりやすく、ここからむし歯になる人も少なくありません。
大人の多くは、むし歯よりも、歯周病で歯を抜かなければならなくなってくるのです。
これを防ぐには、歯と歯茎の境目についた、プラークを除去するしかないのです。
歯みがきが重要なのはもちろんのこと、歯石のようにかたくなってしまったら、歯ブラシではとれないので、一年に一回は歯医者に行って、歯石をみてもらったほうが、いいと思います。
それから、大事なこと。
たばこは、歯周病を進めることがわかっています。
たばこを吸われる方は、禁煙が必要です。
【参考文献】
・ラタイチャーク歯周病学カラーアトラス(西村書店)
・歯とあごの話(’89歯界展望別冊・治療編)