リコール(検診)間隔について
治療が終了された方には、リコール(検診)のお手紙を出させていただいています。
歯を長持ちさせるには定期検診が一番大切ではないかと考えています。
理想的な間隔は下記の通りですが、患者様のお考えや時間的なご都合にあわせて、リコール(検診)間隔は柔軟に対応させていただきます。
歯科治療1年目の方(いままで検診をされていなかった方)
複雑な補綴処置、分岐部病変、歯冠ー歯根比の不良等の困難な症例 | 1~2ヶ月 | 一般治療で治癒良好な場合 | 3ヶ月 |
歯科治療2年目の以降の方(検診をされていた方)
1)プラークコントロール不良 2)高度の歯石沈着 3)歯周疾患にかかりやすくなるような全身的因子(糖尿病、高血圧症、喫煙者など) 4)ポケットの残存 5)咬合の問題 6)複雑な補綴物 7)齲蝕の再発 8)歯周外科適応であるが、医学的、精神的、経済的理由によりこれを行えない場合 9)多くの歯が50%以下の骨支持 10)歯周外科によって改善が望めない高度な歯周組織破壊の状態 |
1~3ヶ月 |
1年またはそれ以上の期間良好なメインテナンス結果が得られているが、以下のような因子を有している場合 1)プラークコントロール不良 2)高度の歯石沈着 3)歯周疾患にかかりやすくなるような全身的因子(糖尿病、高血圧症、喫煙者など) 4)ポケットの残存 5)咬合の問題 6)複雑な補綴物 7)矯正治療中 8)齲蝕の再発 9)骨支持が50%以下の歯がある程度ある場合 |
3~4ヶ月 |
1年またはそれ以上のすぐれたメインテナンスの結果が得られている場合。プラークコントロール良好で歯石沈着がほとんどなく、咬合の問題、複雑な補綴物、ポケットの再発等が認められず、骨支持50%以下の歯がない場合 |
6ヶ月~1年 |
参照:Carranza, Jr., F.A. and Newman, M. G. : Ch. 68 Supportive periodontal treatment. Clinical periodontology. 8th ed., W. B. Saunders Co., Philadelplia, 743-753, 1996
追記:リコールの理論的根拠について(参照:一からわかるクリニカルペリオドントロジー)
・3ヶ月ごとのメインテナンスを行った患者群は、行わない群と比較してみると、年間のアタッチメントロスが1/3程度になる(メインテナンスを行った方が、歯周病の進行がゆっくりになるということです)。
Suomi, J. D., Greene, J. C., Vermillion, J. R., Chang, J. J. and Leatherwood, E. C. :The effect of controlled oral hygiene procedures on the progression of periodontal disease in adults: Results after two years. J. Periodontol., 40(7): 416-420, 1969.
・スケーリング、ルートプレーニング後、ポケット内の細菌の後戻りは4~11週程度で起こり、3~6ヶ月で元の状態より悪化するリバウンド現象が起こる(細菌のリバウンドが起きる6ヶ月前に次の検診(メインテナンス)を行わさせていただければと思います)。
1)Mousqes, T., Listgarten, M. A., and Phillips, R.W. ;Effect of scaling and root planing on the composition of the human subgingival microbial flora. J. Periodont. Res., 15(2): 144-151, 1980
2)Magnusson, I., Lindhe, J., Yoneyama, T. and Liljenberg, B.: Recolonization of a subgingival microbiota following scaling in deep pockets. J. Clin. Periodonto;. 11(3): 193-207, 1984.
3)Wilson, Jr., T.G. Supportive periodontal treatment introduction–definition, extent of need, therapeutic objectives, frequency and efficacy. Periodontology 2000, 12:11-5, 1996.
4)Slots J, Mashimo P, Levine MJ, Genco RJ.: Periodontal therapy in humans. I. Microbiological and clinical effects of a single course of periodontal scaling and root planing, and of adjunctive tetracycline therapy. J Periodontol., 50(10): 495-509. 1979
・歯周外科や動的治療後の長期にわたるメインテナンスの報告は、いずれも3ヶ月、3~6ヶ月のリコールで良好な結果を得ている。このような実験的、経験的結果として、基本的にメインテナンスは3ヶ月ごとに行うのが一般的になっている。
しかしながら、個々の部位における歯周病活動性の予測を臨床的基準で判断する有用な方法がないため、具体的なメインテナンス期間の決定は上記のような基準によって行っている。
1)Westfelt E, Nyman S, Socransky S, Lindhe J.: Significance of frequency of professional tooth
cleaning for healing following periodontal surgery. J Clin Periodontol. 1983 Mar;10(2):148-56.
2)nowles JW, Burgett FG, Nissle RR, Shick RA, Morrison EC, Ramfjord SP.: Results of periodontal treatment related to pocket depth and attachment level. Eight years. J Periodontol. 1979 May;50(5):225-33.
3)Lindhe J, Nyman S.: Long-term maintenance of patients treated for advanced periodontal disease. J Clin Periodontol. 1984 Sep;11(8):504-14.
4)Haffajee AD, Socransky SS, Goodson JM.: Clinical parameters as predictors of destructive periodontal disease activity. J Clin Periodontol. 1983 May;10(3):257-65.